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「母」からの手紙(2012京都JS)

(ある朝の栗東トレセン,障害練習コースにて)

テイエムハリアー「あー,ありえん,やってもうた.グリグリの1番人気で余裕で先頭走っとって,最後から二つ目の障害でクマちゃん落とすなんて・・・.いかん,障害見ると悪夢がよみがえる.早めに帰ろ!!


---
(厩舎)
厩務員「お,ハリアー.今日はもう上がりか?早いな」
ハリアー「まぁ,いろいろとあってな・・・」

厩務員「休む時は休んどき!そや,今日もお前宛にファンレターがごっそり来てるでー.お前がもてると俺も鼻高々やなー」
ハリアー「『金返せ』とか『辞めろ』とか書いてあったらどうしよう・・・」

厩務員「おーおーおー,この子もこの子もいつも熱心やな.誰か俺にもファンレターくれんかな・・・って,お,新顔や,しかも女!見たいやろー」
ハリアー「見せてーな」
厩務員「今日練習早引けしたからダメ」
ハリアー「そんなこと言わんと」
厩務員「ダメ(笑)」
ハリアー「担当馬いじめてどないするん」
厩務員「お前ばっかりもてるからダメ(笑)」

(以下,しょうもない言い争いが30分ほど続く)

厩務員「お前もしつこいな.俺が朗読してやるから正座して聞いとれ」
ハリアー「骨折するわ!!」

(以下,厩務員朗読)

「前略テイエムハリアー君 ご無沙汰しています.コウエイトライ改めアイティトライです.今は競走馬を引退し,鹿児島県の高校生たちと青春しています.あ,青春といっても共に馬術競技に打ち込んでいるだけなので変な想像はしないように.
ところで,先日の京都ジャンプステークス拝見しました.現役時代一度も勝てなかったレースなので思い入れがあります.人気を背負って騎手を落としてしまって落ち込んでいるのではないかと思い,柄にもなくお手紙しました.

私たち障害馬に転倒はつきものです.失敗を反省するのはよいことですが,今こうやってお互い手紙の交換ができることを喜ぶべきなのです.

引退して私の馬柄(人柄)が変わったと思っています?これも忠士との遠距離恋愛で培われた忍耐力(もちろんそれも大いにありますが)・・・ではなく,今の私の子供たち,高校生たちが教えてくれたものです.

彼らは乗馬はもちろん,馬の世話をするのも初心者の子ばかりです.私やその仲間たちは一人一人の性格を考えながら接し,彼らの方でも私たちのことを理解しようと精一杯の努力をしてくれます.高校生はピュアでカワイイですね.私はこの職場が気に入っています.

あなたも現役の競走馬としてまだまだ走るレースがあると思います.J・GⅢ女王の私からあなたへほんの少しの助言を送ります.

障害とは飛ぶものではありません.掻き分け,突き抜けるものです.それによって騎手の負担がどれだけ軽くなるか想像してください.これからもあなたの活躍を応援しています.

あなたの元ライバル・コウエイトライより

追伸:馬術の障害飛越では,バーを落とすと減点あるいは失格なので,私も今はちゃんと障害を飛んでいます」

---

厩務員「泣けるやんかー」
ハリアー「『あの』コウエイトライ姐さんがこんな手紙を・・・」

厩務員「お前,返事書け」
ハリアー「言われんでも書く.それから鹿児島の学校に,ニンジンとか,馬の世話の道具とか,ここの使い古しでもいいから送ってあげてもいいやろか」
厩務員「そうやって自分だけもてようとする!」
ハリアー「ちゃうわ!」

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