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夢はいつも前にある(2012菊花賞)

まるで、より上がったばかりの飴色の絹糸の束を、風に吹き流したような光景だった。
暮れなずむ古都の光が、馬たちの背中を押していた。
偉大なる母の父から脈々と受け継がれた伝統の血と、父親から受け継いだ不屈の魂。
家族経営の小さな牧場から生まれた菊花賞馬は、馬産地日高に大きな夢を与えた。

言わずと知れた競馬に夢を捧げた作家・寺山修司ならこれをどう綴っただろう。
都会に憧れ地方からやってきた人々が作り出す雑踏を「十万人のハイセイコー」と呼び、不運な最後を遂げた彼の大のお気に入り・テンポイントに対しては本当に胸が詰まるような詩を捧げた彼ならば、今回の出来事をどう扱っただろうか。

日々油にまみれて作業をする町工場の労働者への賛辞を交え、後継者のいない農地を毎日早朝から耕す老夫婦への哀愁を込めて歌っただろうか。
少なくとも進軍ラッパが鳴り響く中を突き進む成功者の物語にはならないだろう。彼の紡ぐ競馬ものはいつもそうだから。

先日、ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった教授はこういった。
「ボールが飛んでくることはわかっていた。我々は1割バッターでよかったのだ」と。

競馬だって、きっと1割バッターの組み合わせだ。放牧の工夫で1割、飼い葉の調合で1割、その結果、成功の確率はどんどん下がっていく。それでも決してゼロにはならないし、努力や工夫しだいで確率を少しずつ上げていくことが出来る。だからどんなに辛くてもいつかは成功する夢を見て、生産者も育成者も、調教師も騎手も、それぞれの仕事に精を出す。

ゴールドシップの81歳の馬主さんが、あと10年長生きするとおっしゃってくれた。
競馬は人生を変える。競馬は運命を変える。どんなにもう駄目だと思っても、そこには競馬がある。

サラブレッドは経済動物であって、単なる経済動物ではない。最近多くの由緒ある牧場が経済的困難を理由にその看板を下ろしたが、経営者を変えて、それこそ地面に這いつくばって、日本の競馬を守っている。
何も古い看板に縛られることはない。新しい時代を作るのは若くて新しい人々なのだから。

先々週の土曜日、東京1レース勝ち馬の名前は「リメンバーメジロ」。女馬なのが一層嬉しい。菊花賞馬・ゴールドシップの母方の血統が深く関わっている名前だ。リメンバーメジロ由来の牧場は名前を変えて、私よりも若い経営者があすの競馬を作ろうとしている。
それでいい、それがいい。

夢はいつだって前にある、後ろには先祖が折った夢の名残。
さあ、これからの競馬の話をしよう!

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